ウィリスの雑談

大学院とは?進学するメリットとデメリットを大学院生が紹介。

 

大学院とは大学卒業後、さらに専門的で高度な研究をするため場所です。

大学卒業後、就職せずに大学院に進学すると、さらに数年研究に身を置くことになります。その場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

現役の理系大学院生が感じたままを話します。大学院に行こうか迷っている方は見て行ってください。

 

大学院とは

大学院(だいがくいん)とは、高等教育(学士課程)にて優秀な成績評価を取得した者を対象として、上級学位(修士、専門職学位、博士)を付与する機関である。「修士課程(博士前期課程)」「専門職学位課程」「博士課程(博士後期課程)」がある。 (wikipedia)

 

大学院は簡単に言うと大学卒業後にさらに研究したい人が進む研究施設です。

大学院のタイプ

タイプは大きく分けて4つほどあります。

  • 学部を伴う大学院

学部を持つ大学院とは、例えば文学部の研究機関「文学研究科」、理学部の研究機関「理学研究科」のように、基礎となる学部組織がある大学院のことです。大学の学部、いわゆる学士課程で得た知識を発展・応用させながら、さらに高度で専門的な研究や教育を行います。

https://townwork.net/magazine/job_wpaper/st_trend/60304/#03

  • 大学院大学

大学院大学は、学部のある大学を持たない大学院だけの機関です。独立大学院とも呼ばれます。日本の民主的統治や政策立案のプロ育成を目指す「政策研究大学院大学」などが知られています。

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  • 独立研究機関

学部を持つ大学院と異なり、基礎となる学部組織を持たないのが独立研究科です。多彩な学部の卒業生を受け入れ、各人の専門性を融合させながら、新しい研究ジャンルを生み出したり深めたりできる点が特徴的です。
例えば、ビジネスをテーマに構想力や戦略的思考を培うことを目指す「ビジネスデザイン研究科」、国際的視野を持ってエネルギー問題や環境問題の解決に取り組む人材育成を目指す「エネルギー科学研究科」などが該当します。

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  • 専門職大学院

研究に主眼を置くのではなく、高度で専門的な能力を磨いて実務の場で活かせる「高度専門職業人」の養成を目指す大学院です。例えば、法律家を養成する「法科大学院」、教員を養成する「教職大学院」などがあります。

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多くは、学部を伴う大学院です。〇〇大学大学院など、一般的な大学と合同でやっているようなイメージです。

私も学部を伴う大学院在学です。これから話すメリットデメリットもそれに偏ってくるので注意してください。

大学院の課程

https://shingaku.mynavi.jp/cnt/etc/column/step2/basic/

大学院の課程はほとんどの場合、「修士課程(2年)」→「博士課程(3年)」という風に進みます。「修士課程(2年)」を修了すると修士という学位、「修士課程(2年)」→「博士課程(3年)」を修了すると博士という学位がもらえます。

この学位によって就職後の給料が上がったり、研究職につけるようになったりとメリットが様々あります。

 

大学院に行く メリット

それでは大学院にいくメリットを見ていきましょう。

初任給が上がる

大学卒と大学院卒では、企業に就職した時の初任給が違います。大学院卒の方が月収が2~3万円高いです。

ちなみにソニーの初任給は2019年度でこのような値になっています。

初任給:月給21.9万円(大学卒) ※院卒:月給25.2万円

 

ただし、大学院卒は大学卒より2年間遅く就職する点に注意が必要です。大学卒の方が早く働くため、2年分給料が入っています。逆に、大学院卒は2年分の学費が必要です。

生涯年収が上がるかも

大学院卒の方が大学卒より初任給が上がると言いましたが、生涯年収(一生で得る給料)はどうなっているでしょうか。峠の雑記ブログさん(https://kenjineer0224.com/)を参考にさせてもらいました。

内閣府経済社会総合研究所による論文のデータ を使用してしっかり求めているので、個人的に信頼性があると思います。

次のグラフは大学卒(青)と大学院卒(赤)の年収の違いです。

https://kenjineer0224.com/employment-or-higher-education/#toc5

 

生涯賃金の差は大学院卒の方が大学卒より4700万円多くなるようです。

私の研究室の教授も、「大学院(修士)卒の方が生涯年収が4000万円くらい多くなる」と言っているので、感覚として妥当な感じです。

ちなみに私が大学院に入った理由は生涯年収が高くなるからです。

ただし、これは無事に定年まで働いた場合の話ですし、あくまで平均値であることに注意が必要です。

 

研究についての方法論が身につく

大学院では大学より本格に研究を行います。学会や研究会に行く機会も増えますし、自ら解決策を提案して、自ら実施することが必要になってきます。

そのため、学問的な研究もそうですが、もっと広義の研究の方法論を学ぶことができます。

カンタンに言えば、「分からないことにアプローチする能力」です。

呼び方は、原因究明能力と言ったり、問題対応力と言ったり様々ですが。

 

これが身につけば、いわゆる頭の良い人に慣れると思います。勉強ができる人ではなく頭の良い人です。

不明な何か、複雑で混沌とした現象について、1つ1つ手順立てて、時間と人をうまく使いながら攻略して行くことができるはずです。

就職先の選択肢が増える

大学院(修士)卒では、さまざまな企業の研究職につきやすくなります。大学卒でも就職できる研究職も多いですが、高度な知識や技術が必要な研究・開発分野には、大学院(修士)卒や大学院(博士)卒が多く採用されている印象があります。

また、大学院(博士)卒では大学教授などの研究職も見えてきます。

自由な時間が延長される

大学院生は学生です。研究室にもよりますが、かなり時間に自由度があります。成果や結果を出しておけば休めます。

夏休みもがんばれば1ヶ月程度取ることも可能です。大学生みたいですね。

私の周囲には「最後の学生生活」と言って、2週間かけて北海道を回ってきた人もいましたし、インドのガンジス川に行って沐浴してきた人もいました。インドに行ってきた人はインドの水道水を飲んでお腹を壊していました(笑)

このように学生ならではの時間の使い方ができます。

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学割が効く

大学院生は学生なので学割が効きます。

大学院生は大学卒後、すぐに入学する人が多いので、おおよそ22~27才が多いです。この年齢でも学生であることに変わりはないので全国各地の学割を利用することができます。

大学院に行く デメリット

続いては大学院に行くことで発生するデメリットを見ていきましょう。

お金がかかる

大学院生である間、学費がかかります。

国立大学の大学院だと入学金28万円、学費53万円/年くらいです。

大学院(修士)卒は140万円、大学院(博士)卒は300万円くらい必要になります。

大学院生をしながらでは、時間の都合上、働くことはあまりできません。親からお金をもらうか、奨学金(借金)するしかありません。

ちなみに僕は奨学金を大学時代を含め、合計1080万円借りています。

そう。借金1080万円とともに社会人デビューするんです(泣)

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研究はしんどい

研究はかなりしんどいです。時間的にも仕事量的にもですが、一番やばいのは精神面です。

来る日も来る日も研究、成果が出なければ徹夜、お叱り。研究手法も自分で調べて最適なものを決めなければいけない。研究発表をしてみても研究手法の荒さを指摘されたりする。かと言って、よりよい方法の代案をくれるわけではないので、また自分で考えてやり直し。

私は運良く、良い研究に巡り会えて特に不条理なく卒業できることになりましたが、他の人はそうではない人がちらほら見られました。

私の知っている大学院生で、2人死んでいます。

ちいさいコミュニティー

研究室のメンバーは平均10人程度です。多いところは40人いたりしますが、基本的には少ない人間のコミュニティーに拘束されます。

大学院生なので、ほとんどの人はサークルも入っていないし、バイトもしていません。

この小さいコミュニティーがすべてになります。これが辛い。

 

ここで人間関係にいざこざがあれば、超めんどいし。そもそも気の合う仲間ができなければ毎日つまらないです。

さらに、理系は男ばかりで男性にとっては出会いがありません。

就職が遅くなる

大学院に行くとシンプルに就職が遅くなります。

大学卒と比べて、大学院(修士)卒は2年遅くなり、大学院(博士)卒は5年遅くなります。

その間のお金の工面は大変です。優秀な学生には奨学金免除や学振というお金がもらえる制度がありますが、自分が優秀な学生として認知されるかはわかりません。

また、その間小さいコミュニティー、特に理系は男ばかりなので、結婚したい人は婚期が遅れる可能性に注意が必要です。

大学院に行く場合の注意点

最後に大学院に行く場合の注意事項を見ていきましょう。

大学院での知識は就職後に使わない

大学院では専門的な知識を身に付けることができます。しかし、その後 就職した場合、大学院での知識を使うとは限りません。

例えば、私は宇宙物理学専攻ですが、宇宙物理が必要な就職先はJAXAかNASAくらいです。私はメーカーに就職するので今後、大学院で得た知識を使うことはないでしょう。

友人の素粒子を研究している人も、とうがらしを研究している人も、芳香族化合物を研究しつる人も同じようなことを言っていました。

ただ、生活に近いものを研究している人は、同じことをしている企業にうまく就職できれば、大学院で得た知識を使う場面もあるかもしれません。特に工学部はその可能性が高いです。

大学院は入試に合格しないと入学できない

大学院に入るには入試試験があります。学力と受験料3万円程度が必要です。

また、受験する際には多くの場合面接があり、ここでどの研究室に入りたいのか、なんの研究がしたいのかを述べなければなりません。

そのため、次の3つがあらかじめ必要です。

  1. 研究したいテーマを決めておく。背景知識も入れておく。
  2. 受験する大学院に、そのテーマで研究している研究室があるか確認しておく。
  3. その研究室に事前訪問しておく。

入りたい研究室に事前訪問しておくのが一番大切です。どんな研究をしているのかよく聞いておきましょう。

教授やメンバーと仲良くなってメルアドやLINEなども交換しておくとより良いです。

 

まとめ

大学院に行くメリットとデメリット

メリット

  • 生涯賃金が4700万円ほど高くなるかも
  • 原因究明能力が手に入る
  • 就職先が増える
  • 学割が効く
  • 自由な時間が増える

デメリット

  • 小さいコミュニティーに拘束される
  • 研究はしんどい
  • お金がかかる
  • 就職が遅くなる

個人の性格や行動によって、メリットがデメリットになったり、またその逆もあり得るでしょう。あくまで私が大学院生活で感じた点なので参考程度に見てくださいね。