どうも!大学院で宇宙物理学を専攻していたウィリスです。
この記事では宇宙物理学についての様々な知識を専門的に記述された究極の1冊が最近発売されたので紹介したい!
だれもこんな専門的な宇宙物理学についての記事を読んでいるとは思えないけど、紹介したすぎるから紹介する!それくらいやばい良本がでたんです!
宇宙物理学とは
恒星・銀河・星間物質などの天体の物理的性質(光度・密度・温度・化学組成など)や天体間の相互作用などを研究対象とし、それらを物理学的手法を用いて研究する学問である。
この宇宙物理学という分野。この分野の中でもかなり多くのジャンルがあるんです。
宇宙物理学の住み分け
例えば、宇宙から来ている光のエネルギーの強さによって専門性が分かれて来ます。赤外線を見るのか、X線などを見るのか。
https://www.kurabo.co.jp/el/room/infrare/page1.html
注目する光のエネルギーによって判明する天体の特性が大きく違うので、この違いで研究室やチームが分かれていたりします。
私はX線やγ線というめちゃめちゃ高エネルギーの光を見る研究室に所属していました。X線やγ線を見ると高エネルギーの状態が発生する超新星爆発やブラックホールなどのことがわかります。逆に低いエネルギーで光を発する宇宙に漂っている分子などは調べにくかったりします。
また、宇宙物理学を専攻している人は、宇宙からやってくる光ではなく陽子・原子核・ニュートリノをキャッチして調べる人たちや、検出器だけ専門に作成する人たち、数式やシミュレーションで宇宙を理解しようとする人たちなど、かなり幅広いです。
そんな幅広いジャンルの一つに住んでいた私は、ある壁にぶち当たることが多かったんです。
それは「分からないことが分からない」ということ。
例えば、天体AからどんなX線が出るかは知っているけど、どんな赤外線がでるかは知らないんです。特定のジャンルしか勉強してこなかったから他ジャンルとどのように関連しているのかを知らないんですね。しかもどんな他ジャンルがあって、何から勉強していいかすら分からない状態です。
まさに、「分からないことが分からない」状態でした。
そこで必要なのは体系的に宇宙物理学全体をサラっと学ぶということでした。
宇宙物理学の知識が全部詰まった本
宇宙物理学全体を体系的に学ぶ本は、研究室にありました。
それは「シリーズ現代の天文学」です。
この本にはたくさん助けられました。でも今回紹介したい本ではありません。
「シリーズ現代の天文学」のようなたくさんの本を読むことで全体的な知識を得ることはできます。けど、冊数が多すぎです。読むのに時間もかかるし、持ち運びもできないし。
しかし、2020年、宇宙物理学の専門知識を網羅しながらエッセンスだけを1冊詰め込んだ本が発売されたんです!
それがこれ!この記事で一番紹介したい本!
宇宙物理学ハンドブック
重力理論,宇宙線,素粒子・原子核,プラズマ・流体などの広範な分野と深いかかわりをもち,相対論的宇宙論,ブラックホールや中性子星を中心に発展を遂げてきた宇宙物理学。近年,電磁波観測からニュートリノ,重力波へとさらなる展開をみせている。その全体像と正確な知識を提供。学部上級以上対象。〔内容〕宇宙物理学の概観/天体の物理/宇宙論/相対論的天体と高エネルギー宇宙物理学/宇宙の観測/付録(輻射過程,熱・統計力学,流体・プラズマ,素粒子・原子核)
なんと約24000円します(笑)
バカほど分厚いです。でもまぁギリギリ持ち運べるかな。
内容は、天体から、物理素過程、観測技術、宇宙理論まで網羅しています。本の内容の参照論文は全てちゃんと記述されており、知識レベルも大学以上と高いです。数式やグラフ、周流の学説の変化や歴史などの掲載しておりおもしろいです。
特に良いのが、テーマごとに知識が書かれているんですが、文章ブロックごとに参照した論文の情報がその都度書かれています。知識の深追いをする時にはバリバリ便利ですね。普通の本だと最後のページにまとめていたりしますが。。。
まとめ
多分個人でこの本を買う人はいませんね。私は欲しかったですけど、24000円は高すぎます。。。
宇宙物理学の研究室で購入する分には非常にオススメです。ゼミ(輪講)などでこの本を1周してみてはいかがでしょうか。
特に研究室に入りたてで、宇宙物理学の右も左も分からない人には読んでみてほしいですね。それでは!